※劇画「空手バカ一代」は多くの脚色があるために、事実とは異なる内容が多々あると言うことで有名ですが、優れたコミック作品ですので、あくまで劇画作中の芦原英幸先生のエピソードということでご紹介させていただきますことをあらかじめ申し述べさせていただきます
どうも僕です🍜( ˙-˙ )🥢
今回は屋台のラーメンに係るすこしやるせないエピソードを紹介いたします
作品をご存知な方はそのままで、ご存知ない方のためにまずはザックリと説明しますと
【劇画「空手バカ一代」の芦原編】より
作中で、芦原編の主人公である芦原英幸先生は、生来の喧嘩ぐせが祟り、師である大山倍達先生(極真空手創始者)から破門を言い渡されます
芦原先生はスクラップ回収業をやりながら、極真復帰を夢見て日々業務に明け暮れ、数ヶ月後に破門が許されます
しかしそれは条件付きで
芦原先生は単身四国にわたり、極真空手を広めるように命令が降りました
覚悟を決めて芦原先生は単身四国に渡り
圧倒的な実力で他流派の道場破りをし、または襲ってくる外敵を薙ぎ倒しながら、少しずつ…少しずつその名を広め、弟子入り志望の若者たちも集まってきました
やっとのことで団体としての体を為してきたものの
他流派からの妨害工作(練習場所を奪うなど)は依然として激しく、ついに芦原先生の鬱憤が爆発します
「もう勘弁ならねぇ💢他流派どもの道場に道場破りじゃあ!!🔥」
と、四国に乗り込んだ初期の頃のように、目をギラギラをさせて他流派の道場に殴り込みをかけようとします
そして、実行の日
芦原先生は側近弟子の二宮くんとともに夜の街を歩き、大きな気合いが聞こえる空手のとある町道場に
「よし、ここ(この道場)当たりだな🔥✊」
と目星をつけます
しかしそのタイミングで、芦原先生の視界に入り込んできたのは一軒のラーメン屋台
「…そういえば腹減っちまったな…(´・∀・`)♨️おい、二宮、まずは一杯やってこうや🍜」
と二宮くんを誘う芦原先生
二宮くんは
「こんな時に腹が減るもんなんですね💧うちの先生(⌒-⌒; )」
と半ば呆れつつも、ラーメンですのでやぶさかではなく、迷いなく芦原先生についていきます
🍜🍜
屋台には年端も行かない子供達をつれた女性がいました、暗い顔です
さらに背中には赤ちゃんを背負っています
「ラーメン2丁♪( ・∇・)🥢」
と2人は注文します……が…どうも作る女性の手つきがおぼつかない
麺を茹でるお湯を自分自身の腕に飛ばして呻き声をあげてしまう始末
「「あ…あれ?(´・_・`)💦」」
と2人とも不安を感じます
そして出来上がったラーメンを食べて、いよいよ持って不安的中
「しょっぺぇ!(;´д`)💦」
思わず叫ぶ芦原先生
「おいおいちょっとおばちゃん!!💦これいくらなんでも銭払って食う味じゃないよ!?💦」
抗議する芦原先生たちに店主の女性は平謝り
そうすると、横から女の子が…女性の娘さんです、その子が口を開きました
「お客さん、お母ちゃんをいじめないで!!」
どうやら、その子がお手伝いをするつもりで、スープに塩を入れすぎてしまったようなのです
さらに、その女性、お母さんは商売を始めたばかりで、その理由も大黒柱のお父さんが失踪してしまったからなのだと言うこと
「君たち…お父さんいないの?(´・ω・)💦」
気を落ち着かせて訪ねる芦原先生…そしてさらに事情を聞くと
その子たちのお父さん、屋台の女性のご主人は、元々空手道場の主だったとのこと
ある日、謎の強い空手家がその道場に道場破りを仕掛け、その子たちのお父さんをボコボコにしてしまい、道場生たちはそれがきっかけでその道場をやめて、そして道場主であるその子たちのお父さんは…その子たちを置いてどこかに消えてしまったとのこと…
芦原先生は大きなショックを受けました
「!!…俺の仕業だ!!💦」
そう、その道場は、以前に芦原先生が道場破りを仕掛けたところだったのです
幸いにも、女性も子供たちも、目の前のお客さん(芦原先生)が、その道場破り本人と言うことはわかっていませんでした
芦原先生は、目の前のかつて自分がズダズダにした男の家族にどんな言葉をかけて良いか分からず…
「奥さん…その道場破りが…憎いかい?…」
としどろもどろに声を掛けます
奥さんは「いいえ、空手は格闘技ですから、負けることもありましょう…」と諦めの言葉を口にしますが、娘さん、女の子は違いました
「アタシは憎いよ!!殺してやりたいくらい!!」
泣きながらはっきりと叫ぶように言うのでした…
芦原先生はいよいよ持って打ちのめされました
しょっぱいラーメンを「食うぞ!二宮!」と二宮くんにハッパをかけて、二宮くんも「押忍!」と答えて、無理してガバガバとそのラーメンを食べ進め
そして必死に一言
「ごちそうさん…商売繁盛を祈るぜ…」
と、千円札、ラーメン2杯以上の金額のお札を置いて、二宮くんとともにその屋台を後にするのでした
子供たちは
「あの人…やさしい人」
と去っていく芦原先生の背中を目で追うのでした…
もう、先程の道場に道場破りをする気力はすっかりと失われていました
芦原先生は考えます
「どれほど自分たちの空手を普及したくとも、道場破りなどという荒々しい方法をとっていれば、その道場の関係者たちの不幸を作り出してしまうことになる…」
そして苦悩する芦原先生
そこから芦原先生は作中で、自転車を使い
人を集めようとするのではなく、まずは自分で慕ってくれる弟子たちの住んでいる家に赴いて個別に稽古をつける
という、今でいう訪問パーソナルトレーナーの走りのようなスタイルにやり方を変えるわけです
そして、ご家族のみなさんとも徐々に信頼関係ができてきて、従来の荒々しい広め方とは違う
平和に極真空手を広めていく方法に目覚め、やがて芦原先生の空手道場は大人数となっていきます
偶然入った屋台の、一杯のラーメン
それが芦原先生の大きな転機の一杯だったのです