柳田國男(1875〜1962)
兵庫県出身の民俗学者で岩手県の遠野物語を明治43年に発表した人物として有名です
本作は、その柳田國男…ではなく、その弟子
兵頭北神(実在するかしないかは読者の解釈次第です)が主人公です
舞台は昭和初期の日本
彼は柳田國男の弟子でありましたが、諸事情あって破門され、作中では満州の地において拝み屋を営んでいます。
仕込み杖の使い手で、常人を遥かに超える身体能力を持っており
破門の際、師である柳田から山人に関する資料を大量に押し付けられて、その資料の保管係となっています(事実上)
先日ブログでお話ししました、東北に太古より住んでいる山人…
山人は大和民族(今の日本人)よりもはるかに強力な力を持っており、当然作中では天皇家の警戒するところとなります
兵藤北神は半分その山人の血を引く人物なのです
山人はその存在の危うさから、当時の天皇家の「神話に基づく系譜」にも反し
「存在してはならないもの」
とされ、当時の大日本帝国はその存在を抹消するために「山人狩り」と称して、山人に対して種族撲滅の動きをとっていました
なので、柳田國男は作中に山人に関する研究を封印し、破門した北神に全ての資料を押し付けて満州に追いやったのです。
そして、物語はその「山人狩り」の中、北神は師である柳田に再び呼び戻され
柳田のボディガードのような形で付き従い
「ある事件」を追う過程で、さまざまな出来事が柳田と北神に降りかかります
【黒い遠野物語を生々しく表現した大作】
これはその通りで、本来遠野物語とは河童や座敷童などが出てくる明るく不思議なメルヘン・・・などではなく
無惨で、暗く、哀しいエピソードが満載の「黒昔話」とでも言いましょうか、そのようなものです
この北神伝綺は、その本来の遠野物語の空気を踏襲しながらも、リズムのある台詞回しやミステリアスな画風で最後までどんどん読み進めることができる飽きのこない作品になあっています
なおかつ、凄惨で哀しい描写もありますが、不思議なことにそれでも遠野物語に対しての嫌悪が湧いてこず、畏怖を感じることも最終限に抑えられるのが優れたポイントです
そして、ここでも出てきます
岩手の詩人が
彼に関してこの物語を物語せしめる大きなエピソードがあります
ネタバレになりますのでここでは完全にお話しすることができませんが
印象的なセリフというか、表現を最後、抜粋いたします
「(宮沢賢治)この男、知りすぎている。あまりにも危険だ」
(大日本帝国要人の台詞より)
…押忍🌋( ˙-˙ )✊